「最終版」「最終版_修正済み」「最終版_本当の最終」。こういったファイル名が共有フォルダに並んでいる現場は、今も珍しくありません。図面の版管理は、ツールの問題である前に、運用の問題です。ただ、運用を変えるには、まず何が失敗しているかを正確に把握する必要があります。

失敗1:ファイル名で版を管理している

最も多いパターンです。ファイル名に「v2」「修正済み」「最終」などを付けて版を区別しようとしますが、複数人が同じファイルを編集すると、すぐに収拾がつかなくなります。特に問題なのは、「最終版」という名前のファイルがさらに修正されたとき、新しいファイル名を誰もが迷うことです。ファイル名による版管理は、1人で作業しているうちは機能しますが、チームになった瞬間に破綻します。

失敗2:メールの添付ファイルが版の記録になっている

「あの図面、どのメールに添付されていたっけ」という状況は、設計の現場では日常的です。メールは図面を送るには便利ですが、版の記録としては機能しません。受け取った側が保存する場所も、名前の付け方も、バラバラになります。施工会社に送った図面が旧版だったと後から気づいたとき、どのメールで送ったかを探すのに時間がかかるのも、このパターンの典型的な問題です。

失敗3:承認の記録が残っていない

口頭やチャットで「これでいいよ」と言われた承認は、後から証明できません。特に官公庁案件や、ISO 9001の認証を取得している企業では、承認の記録が求められる場面があります。「誰が、いつ、どの版を承認したか」が記録されていないと、トラブルが起きたときに経緯を追えなくなります。承認フローを電子化することは、効率化だけでなく、記録の保全という意味でも重要です。

失敗4:外部関係者に渡した図面の版が追えない

施工会社や設備メーカーに図面を渡した後、その版が更新されたとき、先方が持っている図面が旧版のままになるリスクがあります。メールやUSBで渡した場合、先方に最新版を再送しても、古いファイルが現場に残っていることがあります。外部への図面共有は、閲覧専用の期限付きリンクを使うことで、常に最新版を参照させる仕組みを作れます。

失敗5:版の差分を目視で確認している

図面を印刷して並べ、変更箇所を目で探す作業は、時間がかかるだけでなく、見落としのリスクがあります。特に細かい寸法の変更や、注記の修正は、印刷物では気づきにくいです。差分比較ツールを使えば、変更箇所を自動でハイライト表示できます。Panel Vault9のバージョン3.2では、この差分比較機能を追加しています。

版管理の失敗は、ツールを変えるだけでは解決しません。ただ、適切なツールがあれば、運用ルールを定着させやすくなります。図面管理の改善を検討されている方は、まず現場でどのパターンが起きているかを確認してみてください。